· 

第四の波 SDGsを考える


第四の波 その3 SDGsを考える(パンとサーカス) 

 1月7日、一都三県に二度目の緊急事態宣言が発令され、不要不急の外出や活動を控えるように政府からの要請が出されました一般的には食料や最低限の生活物資の調達は「必要火急」であるとみなされるようでまた、外食・旅行・イベントなど不要不急であるとされていて、自粛するように求められています。 

 昨年来、私たちは「不要不急」の中身を自問し、控えるよう求められています一方で不要不急」の活動を止めてしまうと経済が回らず、業績の落ちた企業やを失った個人が困る状況が生まれるといジレンマに陥ってしまいます私たち生命や生活を維持するために、個人や社会の経済活動が必要であでしょうその経済活動大部分が「不要不急」なもので支えられていることがこの1年ではっきり見えてしまいました私たちの生命や生存が、無駄なもや過剰なものでえられていです。そのような社会とは何とも脆く、今後も長く持続できるとは到底思えませんコロナ禍が一過性のものであり、ワクチンなどの対策が進めばコロナ以前のような「不要不急」なもので支えられる社会に戻るのならまだしもそのように考えている方はほどんどいないのではないでしょうか。であるなら、身の回りや社会から不要不急を整理し、必要火急なもので経済が回り、我々の生活が成り立って行く社会構造へのトランジッション(移行)を考えなくてはならない時が来たのかもしれません。豪勢な晩餐会はいつまでも持続できるはずはありませんね 

 さて、一方、食料や最低限の生活を維持するためのものだけで人間は生きていけるかというと、それはできるはずはありません。人間はを潤すことでより積極的・健康的建設的になれますし、そこから芸術文化・科学が生まれて来るからです故に、ある程度の「不要不急」や「過剰」も必要だと思います。問題はその中身でしょう人間に必要な「不要不急」と不必要な「不要不急」を分けるものは何かと言えば、やはりSDGsが示す「持続可能性」という物差しだと思いますコロナ禍の中では、執行猶予付きの自由の中にいるような状態で、ある一線を越えてしまうと実刑が課されてしまいます。例えば、読書のようなもので心の潤いを得ることができれば、持続可能ですし実刑が課されることもないでしょう。そのような自分なり建設的で周囲の人にも環境にも優しく、持続可能で不可欠な「不要不急」を見つめ直す期間であると思えば、有難くも思えてきます。 

 

「知りたいSDGs」BSフジ毎週木曜日22:55~23:00 

短い番組ですが、すで68回が放送済みで、バックナンバーすべてをHPから見ることができます。SDGsという言葉に関心はあるが、イマイチよく分からない、それを知るのにどこをどのように始めたらいいのか分からない、そんな方にはお勧めの番組です。HP上で、1回5分の番組ですので、ちょっとした空き時間気軽に見ることができます。2~3話みれば、「あ~SGDsって、こんなことか~」と納得することができると思います。ナビゲーターの曽田麻衣子さん初心者にも分かり易いように説明してくれます。曽田さんは黙って立っているだけでも美しいと思いますが、希望の持てる未来像を語る人は、老若男女問わずいて見えるものです。ぜひ1度覧ください! https://www.bsfuji.tv/vod/library/sdgs.html 

 


その2 SDGsを考える(Sustainability)
 2015年、国連加盟国の全会一致で採択された「2030アジェンダ」の中核を成す概念がSDGs(Sustainable Development Goals)です。環境問題などは、国単位の課題ではなく地球規模で取り組まなくてはならない課題であることはずっと前から分かり切ったことでしたが、やっと世界規模の合意が出来上がったのが「2030アジェンダ」でした。そして、2020年は、2030年に目標を達成するための、”行動の10年”のスタートの年でした。新型コロナの影響でこの流れは大きく後退してしまったと言われていますが、私は決してそうだとは思っていません。平穏や平和は何とも有難い反面、その陰で苦しんでいる人達に目を向けたり、見え難いが大変深刻な問題の解決を先延ばしにしてしまう心理が働いてしまいます。コロナという難問を突き付けられたため、多くの人に多少なりとも問題意識が芽生えた今こそSDGs的発想を浸透させる良いチャンスと捉えることもできるのではないかと感じています。また、年が明けても一向に納まる気配のないコロナ問題ですが、もはやコロナ以前の社会に戻ることは無いだろうということが徐々に分かって来ました。今までとは違った社会に変化せざるを得ないでしょう。変化せざるを得ないなら、どんな社会に変えてゆくのが望ましいのかを個々人が考えるきっかけにすべきだと思います。
 SDGsには17の大きな目標と169のターゲットと呼ぶ、より具体的な目標が掲げられています https://bit.ly/3pDa1U3
調査によるとよると、日本人のSDGs認知度は16%だそうです。100人中16人は知っているが84人はまだ知らないということになります。認知度が低いのは残念ですが、逆にまだまだ可能性を秘めているとみることもできると思います。あまりにも雄大な目標なので様々な解釈が可能になりますが、SDGsのエッセンスを煎じ詰めると、sustainability(持続可能性)という言葉・概念になると思います。「あらゆる行動や判断を持続可能性という基準に照らし合わせると解決の糸口が見えてくる」、ごく大まかにはそのような解釈に基づく地球規模の社会実験だと思います。かつて、”社会主義”という社会実験がなされましたが、決して成功とは言い難い結果でした。ある程度の市場原理が働く方がうまく機能するようです。SDGsは単なる理念ではなく、ビジネスモデルとしての側面を持つところに、世界の多くの人が賛同できる要因があります。また、従来からある環境保全活動や、慈善活動とも本質的に異なります。具体的な取り組みを見てみると、どれも素晴らしい取り組みで、つい他の人に伝えたくなってしまうようなものばかりです。すべてが「持続可能性」という基準に適合するかどうかで見ることができます。
「バトンタッチ SDGsはじめてます」 BS朝日:毎週月曜22:00~22:54
番組概要(HPより)「SDGsに関心を寄せる若者たちが、SDGsに取り組んでいる人や団体、自治体や企業を訪ねる。そこで目にするのは、人間・社会・地球環境にまつわる「持続可能な未来」への活動とその裏にある”思い”。問題解決への学びや気づきを通して、若い世代がSDGsに関わる=”未来へのバトン”をつないでいくヒューマンドキュメンタリー。人と、地球の持続可能な未来へと繋がって行くSDGsバトンリレーをお届け。」
本当に後味が良く、こんな人達なら未来を託しても大丈夫だろうと思わせてくれる一般の若者が毎回登場します。大家や知識人が上から目線で教えを授ける形式ではなく、番組も紹介される取り組みも、正に”持続可能性”を感じさせます。バラエティー番組のような、タレントが空騒ぎをする番組もたまにはいいのでしょうが、この種のドキュメンタリーがゴールデンタイムに来るようになるといいのですが…

SDGsを考える その1(sustainability)
 今から40年前の1980年、未来学者アルビン・トフラー著の「第三の波」が出版され、世界的な話題となりました。人の生活や価値観を根底から変えてしまうほど影響力のある大きな社会変革を、それまで人類は2度経験していて、20世紀後半に3回目の大きな社会変革、つまり”第三の波”が起こりつつあるとの指摘です。
 トフラー曰く、第一の波は新石器革命(BC85年頃)で、人類が採収や狩猟で食料を得ていたことから、農耕により計画的に食料を得る行為を覚えたことである。第二の波は産業革命(18C半ば~19C)で、手工業から機械化による大量生産への転換により、経済・産業・社会など様々な構造が変わったことである。そして、第三の波は20世紀中盤頃から顕著になった、電子化・情報化社会への変革を指摘しています。
 これらの大きな波は、あまりにもゆっくりと入り込んで来たために、いつから始まったのかさえも特定できず、その中にある人間でも意識することができないまま静かに社会を変えてきました。第一の波は数千年をかけて実にゆっくりと進行し、第二の波はほぼ200年で世界に浸透したと言われています。また、第三の波は、2~30年で世界に浸透したと言われています。我々は第3の波を実体験しているさ中なのですが、人類史上幾度もないほどの大きな波の中に居るのだ、などという意識もない間に気が付いてみたら大きな変化が進行していたということが分かります。お金も電子化され、墓参り・帰省・初詣などの年中行事や選挙・社会福祉などもオンラインで行われるようになりました。
 さて、現在人類は”第四の波”を経験しつつあると言えるのかも知れません。そのように指摘する社会学者はまだいないと思いますが、良い意味で”第四の波”にして行くことはできないか、”第四の波”にして行くことが望ましいのではないか、私はそう感じています。その”第四の波”とは、”SDGs"と言われるものです。Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の頭文字を取った略語で、今までの波が自然発生したのに対し、このSDGは意図的・計画的に発案された、理想的な将来ビジョンとでも言ったらいいのでしょうか。書店でも図書館でも、今までにない規模の特設コーナーが設けられているほど多数の関連本が出ています。この現象も”第四の波”現象の一つであると思います。閉塞感が漂う21世紀の世界で、地球や人類の未来に希望を与えてくれる概念であるからこそ、多くの人が関心を寄せているのでしょう。
 ネットや図書館からいくらでも情報を得ることができます。SGDsを紹介するテレビ番組を見るのが一番分かりやすいかも知れません。いくつかあるようですが、
フューチャーランナーズ 17の未来 地上8ch毎週水曜日22:54~23:00
は大変コンパクトにまとまっていると思います。因みに、直近の番組は1月6日(水)で、音楽家の坂本龍一氏が長年森林の保全活動を行ってきていて、国内外17の森を作ったという話のようです。